不動産購入で失敗。だから「居住中」と「空室」確認は怠るな

最終更新: 2022年6月5日

今回は収益物件の「居住中」は本当に居住中なのかをテーマに絶対確認してほしい注意点について紹介したいと思います。個人的な見解ですので参考にしていただけたらと思います。


居住中のはずが・・・


実際にあった経験談。これはひどかったです。「居住中」のはずが、ごみ置き場となっていたからです。「なぜ気付かなかったの?」って思うでしょ?これまで家賃の滞納もなく、きっちり入っていたからです。

収益マンションを購入して引き渡しを受けたら「賃貸人変更通知書」等を各賃借人へ交付して家賃の支払先変更をお知らせしなければなりません。

賃借人によっては、旅行に出かけられていたり、帰省している場合もあるのでしばらく様子を見ていましたが、1カ月を経過した時点で「なんかすごく気になる」となったわけです。

契約時には、「賃貸借契約書」を引き継ぎますので、入居とされている方の名前や年齢、連帯保証人の連絡先など詳細な情報があるので確認はしていました。しかしながら一向に連絡が付きません。

別のお部屋に入居中の方へも訪問して「〇〇号室にお住まいされていらっしゃる方とお会いしたことはないか」と確認しても「いや~見かけないね~」の返事があるばかりでしてた。

事態は緊急を要すわけです。身分証明書を提示してこれまでの経緯と事情を説明し、警察官2名の立ち合いのもと合鍵を使ってドアを開けました。

この時の不安はピークに達していました。「倒れていたらどうしよう」警察官は、何のためらいもなく慣れた手つきで室内に入ろうとしています。するとこんな状態でした。

ヤバいですよね。この状況って・・・。

おそらく数年間ものあいだずっとこの状態で放置されていたのでしょう。

メチャクチャ危険です。前所有者にも確認を取りましたが、全く気付いていなかったそうです。「そんなことあるのか」と思いましたが後の祭りです。

膝上まで積みあがったゴミ。誰が見てもゴミですが、「勝手に処分もできません。賃借人の所有物だからです」。

警察官は、そのゴミを丁寧に丁寧に掻き分けて賃借人がいないか探してくれました。感謝の言葉もありません。

↑この薄茶色に積もっているのはカビ?

探す」締め切られた狭い空間、一歩足を動かすだけで何とも言えない異臭を放ち、それを吸い込みながらの作業です。

だんだんと服は黒づんできます。得体のしれない液体でドロドロになり、何よりホコリ(カビ)が霧のように舞ってしまうんです。

警察官に「ご苦労様です」と何度も何度も言う結果となりました。捜索が終わって、「ここには誰もいない」と報告を頂きました。


賃借人探し


まず金融機関に連絡しました。

通帳に振り込んでくれている方を探している旨を伝えると「振込人の特定はできませんし、確認が取れたとしても個人情報ですのでお伝え出来ません」とあっさあり断られる状況です。

契約時の旧所在地へも書留郵便で手紙を送りました。「あて所に尋ねあたりません」と返却されてきました。

数日が過ぎて手の打ちようがない状況で、半ば諦めそうになりましたが、再度賃貸契約書を端から端まで読み込んでゆくと「勤務先」の記載を発見する事が出来ました。

連絡すると「既に退職しています」との回答。振出しに戻るのかと凹みましたが、何か情報があるのではないかと訪問することにしました。

すると、たまたま社長がいらっしゃったので「行き先はご存じないですか」と伺うと、案の定「知らんね」とあっさり。

しかし家賃が支払われているんですよ」とポロっとこぼしたら「ああ、そこの家賃やったらうちが支払っているで」と返事が返ってきました。

その前社長さんはどこにいらっしゃいますか」と伺うと「いやぁ、どこにおるんか知らんなぁ」との返事。

本当に知らない様子でした。恐らくM&Aで企業ごと購入されたのかもしれません。まあ、それでもわかるとは思いますが、連絡を取るのが面倒な感じでした。

その後の調べで、「最初の契約時は個人名義で借り始めたものの、その賃借人が何らかの理由で退職して空家になり、退去報告を行わずに新たな社員が住む」といったことが繰り返されていたようでした。つまり法人が勝手にその部屋を使い回していたのです。


損害賠償請求も視野に


なんで見に行かなあかんねん、うちの従業員が住んでいるんやから」と意味不明なことをおっしゃられるので・・・。

じゃあその最後に貸していた方を紹介してください」というと「既に退職されています」と、近くにいた同僚の一人が回答しました。

後日、賃貸借契約書を持参で現社長が現地を訪れてくれました。それまでに所定の手続きを済ませておきました。

ドアを開ける前に「ここに住んでいた」かどうか確認してください。そして「住める状況かもご確認ください」と伝えました。

絶句とはこのことだと思います。中に入ることなく「ここは住める状況ではないな」との認識で一致しました。

知らなかったとはいえ、本当に申し訳ない」とおっしゃってくれました。この時、「うちは関係ない」と突っぱねられたらもっと大変だったと思います。

おそらく手元にあった賃貸契約書の中身に目を通されていたのだと思います。損害賠償も視野に入れていました。

が、話し合いに転じて相互の理解と納得の上でようやく書面により解決に向かう事が出来ました。


まとめ


今回のようなケースは初めてでしたが、どうやらレア事例でもなさそうです。

同じ様な思いをされる方が一人でも少なくなればお互い無駄な時間を過ごすことなく、心が動揺によるストレスを受けることを回避できます。

今回のテーマである収益物件の「居住中」は本当に居住中なのかをもう一度ご確認いただき、このような事例を未然に防ぐ事が出来たらいいなと思います。

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