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愛車


 

最後通告

 

あー、これ、うちでは直せませんなぁ」「あした工場でみてもらわにゃ」「ほしたら、駐車場まで運びますぅ」お願いして見に来て頂いたJAFのスタッフの方による最後通告。


真夜中1時過ぎから2時過ぎに起こった出来事。その日、あまりにも眠たくなった私は事故を避けるべく車のシートを少し倒して仮眠していました。ふと目が覚めて「寝すぎた!」気付けば1時間が経過していました。


鍵を回してエンジン始動!ん?・・・。あれ?寝ぼけてるのかとギアを確認しましたが問題ない。エアコン・ルームライトは消していたのでバッテリーでもない。・・・・・壊れた?


気付けば12年の間毎日行動を共にし、一度も故障することなく、わがままな運転にも耐え、洗車もそこそこ、重たい荷物を文句も言わず運んでくれて、ジュースがこぼれた事もありました。


工事現場でタイヤに釘2本が刺さり痛い思いをさせたこともありました。時には駐車した場所が思い出せずしばらく置き去りにした事もありました。


それでも黙って帰りを待ってくれて、リモコンボタンを押すと遠隔でハザードランプがカチカチと点滅し、ココだよとでも言うように存在を知らせてくれました。


私が初めて購入した車でした。本当にいろんな場所に連れて行ってくれました。日によって運転しやすかったりした事もおぼえています。

故障して動かなくなった車を前に私は、「何か怒っているのかな」とか「機嫌直してくれよ」とか話しかけていました。


翌日朝一番でディーラーに持ち込み見て頂きました。原因は燃料ポンプの故障でした。部品を取り換えるとすぐにカチカチと元気に点滅してくれました。うれしかった。もう動かないと言われたらと思うと・・。


ところが、「丁寧にはご使用されていますが、部分部分が老朽化してこれから先も交換箇所が増えてきます」「会社で利用されて、お客様が乗る事が多いのであれば乗り換えをお勧めいたします」突然のお別れ宣告です。

間もなくして本当に別れの時が来ました。それでも名残惜しい私は「1か月先の車検の時期まで待って下さい」「それまでは大丈夫ですよね?」洗車しました。


積みっぱなしの荷物も下ろしました。ほとんど使うことのなかった三列目のシートにも座りました。その間の一ヶ月も何の問題もありませんでした。車内のインテリアも買った時のまま。


唯一、ハンドルとドアミラーの開閉ボタンの印字された文字だけがすり減っているくらいです。「ありがとう」「ありがとう」「本当にありがとう」涙が出ました。

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