不動産購入で失敗。だから「見てなかった」では済まされない
- 6 時間前
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不動産購入で失敗する人の共通点は、「確認不足」ではなく「確認の質が浅いこと」です。
不動産購入で失敗したくない——そう考えて情報収集をしている30代〜40代のご夫婦は多いのではないでしょうか。マイホームの購入は数千万円規模にもなる人生最大級の買い物です。
住宅ローン、子育て、将来設計…あらゆる要素が絡み合う中で、「絶対に後悔したくない」と思うのは当然のことです。
しかし実際には、「ちゃんと見たつもりだったのに」「そんな話は聞いていなかった」という理由でトラブルに発展するケースが後を絶ちません。そしてその多くは、ほんの少しの見落としや確認不足が原因で、数十万円〜場合によっては数百万円単位の損失へとつながります。

さらに厄介なのは、お金の問題だけではありません。近隣トラブルや工事の遅延、精神的ストレスなど、生活そのものに影響を及ぼす問題に発展することもあります。
この記事では、これから不動産を売却あるいは購入しようとお考えの人向けに作成しています。何かしらの一助となればうれしいです。実際に私が経験した不動産取引の中で起きたリアルな事例をもとに、「見落としがちな注意点」と「事前にできる具体的な対策」を解説していきます。
机上の知識ではなく、現場で起きた経験だからこそお伝えできる内容です。「知らなかった」では済まされない不動産購入の現実を知り、後悔しない判断のために、ぜひ最後までご覧ください。
また、不動産がテーマになっている書籍やネット情報ではなかなか伝えにくい点などがあると思います。そのあたりを抜粋して説明できたらと思います。
コンテンツ
「見てなかった」それでは後の祭り
・隣家の外壁に何故か傷がついている
・道路を個人負担しているということは
・敷地上空は必ず見上げる
「見てはいた」だけでは足りてない
・境界標を疑ってかかる重要性
・測量図と実際の寸法を測り比べる
・側溝がコンクリートで蓋をされ、暗渠の状態になっている
まとめ
余談
「見てなかった」それでは後の祭り
ここでは、実際に私が経験した不動産取引の中から、「見落とし」によって起きたトラブルについて解説します。具体的にどのようにチェックして、どのように対処あるいは対応したかなども具体的にお伝えできたらと思います。
30代〜40代のご夫婦は、仕事や家庭で忙しく、物件選びに十分な時間を割けないケースが多いのが現実です。しかし、その限られた時間の中での判断こそ、慎重さが求められます。
なぜなら、不動産は「一度購入すると簡単にはやり直せない」からです。
■隣家の外壁に傷がついている
お客様との不動産売買契約が完了し、契約内容に沿って建物を解体しました。更地にして引き渡すことになっていたため、解体業者に建物取り壊しを依頼。
予め打ち合わせていた予定通り、工事は完了し、あとは決済を待つだけというタイミングで、隣家の方から一本の連絡が入りました。
建物解体に伴い事前にご挨拶も行っており、関係は良好だったので「なにかな」と何も予測できないまま電話に出たところ「うちの建物に傷がついている」・「先程たまたま見つけたので慌てて報告させてもらった」とのことでした。
すぐに現地に向かいご主人様とお会いし、詳細に内容を確認することになりました。「先日までの解体作業中に付いたのではないか」・「作業中、ずっと見ていたわけではないから確信はないけれど」とのことでした。
現地で確認すると、誰が見ても分かる明確な傷が存在していました。しかし、その傷が解体工事によるものなのか、それとも以前からあったものなのか、判断することができませんでした。

翌日、解体作業を行った業者へ確認を取り、状況報告を行ったところ「いやいや、そんなところに傷が付くことはないよ、作業前にも影響を及ぼす恐れのある近隣の写真は作業前に撮影しているので見に来てください」とのことでした。
ところが、写真を確認させて頂いたところ、肝心の箇所が写っていないという状況。つまり、どちらにも責任の証明ができない状態でした。このとき強く感じたのは、「証明できないこと」そのものがリスクになるという現実です。
確かに紛れもなく傷がある、しかも人為的についたと見受けられる傷である。つまり誰かの責任ではあると感じていたのは事実です。しかし現実問題、どうやってそれを証明し解決するのかがわからなかったのです。
最終判断をする際に整理しました。
・隣家のご主人様がおっしゃる心情もわかる、解体業者の回答も誠意が伝わってくる
・周辺の写真を撮ってなかった私自身にも問題がある 解体業者を選定したのも私自身
・買主様に不動産を引き渡したあと、近隣との関係はスムーズな方が良い
精神的にも経済的にも決して軽い判断ではありませんでしたが、犯人探しではなく、弊社負担で補修する提案を隣家に受け入れてもらえるか相談しようと決めました。
もちろんこれが最良の解決策だったかどうかは、未だに分かりません。今回は隣家のご主人様の了承を頂くことができました。
仮に話し合いがこじれていれば、トラブルは長期化し、買主への引き渡しにも影響が出ていた可能性があります。最悪の場合、損害賠償問題に発展することも考えられます。
解体を行う場合、専用足場を組んでしまう前に、人任せではなく自分の目で何度も現地で確認を行う必要性があります。他にも近隣側へ粉塵やゴミが飛散しないかなど、隈なく見ておくことが最善であると思います。
👉 対策ポイント
・解体前に近隣を含めた写真を自分で撮影する
・業者任せにせず、自分の目で状況を把握する
・「万が一トラブルになったときに証明できるか」を常に意識する
■道路を個人負担しているということは
今回の物件は、公道から私道を通ってアクセスする立地でした。一見すると問題なく通行できるため、見落とされがちですが、ここには大きなリスクが潜んでいます。
私道は個人所有であるため、工事車両の通行には所有者全員の承諾が必要になります。そしてその道の上を、解体業者や建築業者の重量車両が通行するとなると話は少し変わってきます。
もし、御自身が持っている土地の上を、そんな重たい車輛が往来して、アスファルトがへこんだり、欠けたりしたら文句の一つも言いたくなると思います。

しかも、その道路の地中には水道管や下水管、ガス管などのライフラインが通過していた場合、心配は大きくなってきます。断線したりして壊れてからでは手遅れとなってしまいます。
一部の所有者から承諾が得られなければ、工事そのものができなくなる可能性もあります。つまり、「土地は買ったのに家が建てられない」という事態に陥るリスクがあるのです。
今回私は、私道所有者13件すべてに対して個別に訪問し、「工事内容」・「工期」・「時間帯」を丁寧に説明したうえで、通行承諾書および掘削同意書を取得しました。
この作業には相当な時間と労力がかかりましたが、これを怠っていた場合、計画自体が頓挫していた可能性もあります。
👉 対策ポイント
・私道かどうかを必ず確認する
・通行承諾・掘削同意の有無を事前に確認する
・契約前にクリアできるかを見極める
■敷地上空は必ず見上げる
先程の道路部分では地中についてライフラインが埋設されていることに触れましたが、今度は上空についてとなります。普段、何気なく道を歩いているときに、自然と目線は前を見ているか、あるいは下方に目線を落としている方が多いかと思います。
「上空」を確認している方は意外と少ないのが現実です。しかし、不動産の場合はぜひ現場に着いたらあえて上空を見上げて頂きたいと思います。
特に、敷地境界線上を足元に注意しながらゆっくりと歩いてほしいです。するとたいてい複数の電線が目につきます。この電線を見逃すと大きな問題になる要素が存在します。

例えば、電線が建築予定の建物と干渉する場合、設計変更や工事制限が発生します。電力会社に移設を依頼できるケースもありますが、周囲の環境によっては対応できない場合もあります。
電線のみの場合は、線のみの移設工事で対応できることもありますが、隣家の庇や屋根などが敷地上空を越境している場合はもっとも問題です。
建築する際には、役所にて建築確認申請書を提出するのですが、越境している部分がそのままの状態となれば、投影面積に照らされて敷地の有効利用が減るだけでなく、建築自体が却下されてしまう可能性があるからです。
また、敷地内に越境物があると金融機関からの融資も場合によっては受けにくくなる可能性もあります。これは何も敷地上空だけに限られたものではなく、地中内の水道管や下水管、ガス管なども対象になります。
👉 対策ポイント
・現地では必ず上を見上げる
・境界付近の上空は特に注意して確認する
・越境がある場合は事前に解消可能か確認する
「見てはいた」だけでは足りてない
ここからは、「確認したつもり」でも不十分だったケースについて解説します。
■境界標を疑ってかかる重要性
皆さんは、不動産を購入しようとしたとき敷地境界を気にするように言われたことはないでしょうか。これは紛れもなく重要な事柄です。では、どのように確認しているのでしょうか。
現地に足を運び、敷地の境界線上を歩いて「境界標」を探すといった具合かと思います。整形地なら四隅にプレート状のものやコンクリート杭等を見つけられた方も多くいると思います。多くの方はそれで安心されているのではないでしょうか。
まず、その境界標は本当に正しい場所に設置されているのかと、疑ってみたことはありますでしょうか。おそらくは無いのではないでしょうか。境界標は土地の範囲を示す重要な目印ですが、それが必ずしも正しい位置に設置されているとは限りません。
今回、私もいつもどおりすべての境界標を目視で確認し、写真に収めました。ところが一ヵ所だけコンクリート杭がわずかに斜めに傾いているのが確認できました。
私がこうした現場を毎回見ているからではなく、おそらく皆さんも違和感を持つことと思います。できれば真っすぐ垂直に設置されていてほしいのですが、勝手に触れることはできません。

敷地が大きければ大きいほど、わずかの差で面積が大きく変わる可能性があります。仮に長方形の土地で長辺側100mの長さに対して短辺側に1㎝の差が出た場合、1㎡の差異が生じることになり、これが都内の一等地だったら数十万円~差が生じるとも珍しくありません。
そこで、土地家屋調査士の協力を得て隣地に確認してもらい、正しい位置に境界標を設置することができました。疑ってかかるというのは、勝手に境界標を設置しているケースがあったからです。
残念ながら、これを見破るのは非常に難しいことです。別事例では、その周辺を同意の上で掘り返したところ地中に古い石杭票が出てきたといったケースも実際にありました。
👉 対策ポイント
・境界標を鵜呑みにしない
・違和感があれば専門家に相談する
・「疑う視点」を持つ
■測量図と実際の寸法を測り比べる
測量図があるから安心、という考えも危険です。実際には、図面と現地の寸法が一致しないケースは少なくありません。
巻き尺などを使って実際に測ることで、そのズレを把握することができます。このズレは、確定測量の必要性や価格交渉の材料になる重要な情報です。
まず売主の手元にある資料や法務局に備え付けられている「地積測量図」を入手します。
その図面をもとに、現地に巻き尺もって実際に図ってみます。ピッタリくることもありますが、たいていの場合ずれると思って間違いないでしょう。
この「ずれる」という結果を持つことが重要となります。購入前に図った結果、多少のずれがあることがわかりました。売主様あるいは買主様に対して、土地家屋調査士である資格者に確定測量をお願いする選択肢ができるわけです。これはかなり大きな収穫です。
契約後に同じことを申し出ても、話がうまく進まないケースがほとんどです。まして引き渡しまで受けると更に大変ですし、隣地の協力が得られなければ測量自体できないことも考えられます。
👉 対策ポイント
・現地で実測する
・ズレがあれば必ず確認する
・契約前に解決できるよう動く
■側溝がコンクリートで蓋をされ、暗渠の状態になっている
一見問題なさそうな土地でも、「見えない部分」にリスクが潜んでいることがあります。
今回のケースは、購入前の現地調査で、道路と敷地の間にある「側溝」が、コンクリートでおおわれており、実際に存在して機能しているかという案件でした。

本敷地の両隣家までは側溝があるのは見て取れたわけです。大方の予想としては「側溝は存在して機能している」ということでした。
事前に役所で相談したところ、前面道路は公道であるため建築確認申請時には「側溝の確認」が必要とのことでした。
側溝が現存していれば、改めて「官民明示」の必要はないが、万一なかった場合は根拠をもとに土地家屋調査士による測量図書を添付の上申請をしなくてはならないとなっていました。
本敷地は角地に当たり、建築基準法に照らし「隅切り」が必要となる条件がありました。また、もし、「側溝」がなく、官民明示の根拠が提示できない場合、役所との協議の上、敷地と道路との境界が決まるということとなるわけです。
暗渠になっていたコンクリート部分の解体撤去が行われました。大方の予想を裏切り、「側溝」はどこにも見当たりませんでした。つまり「官民明示」が必要となった瞬間でした。ここで一つ目の費用が追加されました。
結果として、境界の根拠となる資料はどこにも存在せず、役所との協議の上、敷地と道路の境界が決まりました。そして、敷地面積が減少し、あらかじめ建築士と打ち合わせた間取り図面を多少やり直さなければならないといった結果となりました。
それだけでなく、「側溝」の設置および工事に伴い影響する道路のアスファルト舗装の復旧工事までがもれなく加わったわけです。ここで二つ目の費用が追加されました。
こういった目に見えない状況を予測できていたとしても、購入前に売主様の了解を得ることは難しい場合が多いと思います。ただ、予測できているかによって、対応の仕方は変わってくると思います。
👉 対策ポイント
・見えない部分ほど慎重に確認する
・役所調査を事前に行う
・最悪のケースも想定しておく
不動産購入で失敗しないためのチェックリスト【保存版】
購入前に必ず確認しておきたいポイントをまとめました。
✔ 解体前に近隣状況を写真で記録したか
✔ 私道の通行・工事承諾を確認したか
✔ 敷地上空(電線・越境)を確認したか
✔ 境界標に違和感がないか確認したか
✔ 測量図と実際の寸法を比較したか
✔ 側溝やインフラの状況を把握したか
✔ 不明点を放置していないか
一つでも不安がある場合は、そのまま契約に進まないことが重要です。
まとめ
不動産購入は、「見たかどうか」ではなく「どこまで確認できたか」で結果が大きく変わります。小さな違和感を見逃さないことが、数十万・数百万円単位の損失を防ぐことにつながります。
・建物解体は、近隣との取り合い部分の状況を確認する
・物件までの侵入経路は自分で歩いて確認する
・物件上空はあえて上を向き、敷地境界付近は特に確認する
・境界標はいろんな角度からみつめて、疑ってかかる
・測量図面と実際の辺長を測り、違和感があれば有識者に相談
・たとえ予測不能であっても、その先の予測まで考えておく
余談
かつては不動産会社からの情報をそのまま受け取るのが一般的でしたが、現在はネットの普及に伴い必要な情報は自分でもすぐに収集ができる時代です。にもかかわらず、依然として不動産会社に「お任せ」となってしまうお客様が多いのも事実です。なぜでしょうか。
それは生涯に何度もない或いは一度切りの不動産取引において、自信を持って自分で調査しろと言われても無理なこと、あるいは高額な商品を購入するにあたり、絶対にミスは許されないといったプレッシャーにあります。
しかも、不動産を購入する年齢層から言っても、仕事を抱えた現役世代の方が圧倒的ですから、不動産について勉強しようにも「そんな時間は無い」となるわけです。
人間だれしも、不安や心配があれば誰かに頼りたいと思ってしまうこともよくわかります。
不動産仲介会社の営業マンの大半がお客さまに寄り添い、話を聞いて、共感するべきところは共感し、注意すべきところは発想転換を促したりしてくれますし、心配することはほとんどないと思っています。
ただ、頼りっきりのスタンスではなく、お互い違う視点で不動産を見て、相互チェックしあえる関係になり、要点を抑えることができれば、大半の心配事は払しょくできることが多くなるということです。
少しの知識と意識の差が、大きな結果の差になります。その積み重ねが、後悔のない住まい選びにつながります。
不動産売買をお考えの方に予備知識にお勧めの本

誰も教えてくれない 不動産売買の教科書(明日香出版社)
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