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ANAの気づかい

  • 2021年3月6日
  • 読了時間: 4分

更新日:3 日前

気づかれない気づかいこそ「金」

空港のラウンジでスーツ姿の男性がスマホを見る。背景に飛行機。別の男性と女性が座って待つ。落ち着いた雰囲気。

2019年から2020年の1年間ほぼ毎週、伊丹空港から大分空港まで飛行機を利用して出張していました。


ご承知の通り電車と違って日に数本しか飛んでない、出発時刻は正確で遅刻厳禁、なるべく余裕をもって出発ロビーに到着できるよう仕事の調整に毎回追われていました。


よく見かけた光景に「〇時〇〇発 〇〇行き 〇便へご搭乗のお客様は〇番出発ゲートへお急ぎください」とANAの女性スタッフがヒールの着いた靴で必死で走ってアナウンスする姿。気づかいです。


ギリギリまで仕事をしていたサラリーマンだけでなく、ふだん飛行機を利用されない年配の方、片手で抱っこしながらもう一方の手で手を引くおかあさん、体の不自由な方や日本語が上手でない外国人、ひろい空港で迷子になって遅れる方が必ずいます。


ヘリコプターからロープで吊るされた男性が、荒れた海の上で救出される瞬間。緊張感あふれる白黒のシーン。

それでも皆一様に「私のせいで他の同乗者に迷惑が掛かってはいけない」といった必死の形相が見て伺えました。


必死なのはANAのスタッフも例外ではありません。「お客様に快適な空の旅を」をメッセージに掲げている以上、何とか間に合って頂きたいという気持ちが伝わってきます。通路を小走りにアナウンスを続けます。


そのアナウンスに気付いた乗客は「すみません、すみません、遅れてしまってすみません」と。すると笑顔で「ご安心くださいませ、まだ間に合いますから。どうぞこちらへ」と優しく誘導してくれます。


冬の森のアーチ型の道が、遠方の光に向かって続く風景。枯れ草に囲まれた静かな雰囲気。木々には苔があり、薄暗い青の色調。

その時は気にも留めていませんでしたが、一人で遅れてくるときよりも、スタッフと一緒の方が格段に安心が生まれるということに後から気づかされました。私も一度遅れそうになったことがあったからです。


普段起こりえないことが身の上に起こった時、人は不安の渦の中にいます。それを優しく導いてくれる人がいるだけで感謝の気持ちでいっぱいになるのです。


スタッフの方からすれば、毎日毎日何人もの人が同じように遅れてきたりするわけです。自分がスタッフだったら「またか」とか「はいはい」というような対応をしてしまい、マンネリ化した行動に気付かないまま、そっけない対応してしまうのではないかと思います。


その後しばらくしてこんな本に出合いました。


ANAの気づかい


5秒さきの未来を想像する」「部下に気づかいするのは時代だからではなく重要だから」「伝えるではなく、伝わる」などのワードが目に飛び込んできました。


青い背景に「ANAの気づかい」というタイトルの本。上部に飛行機のイラスト、黄色と白の文字。下部に詳細な説明文。

正直に申し上げるなら、書籍の中身は当たり前のことばかりの字面が並んでいるといった印象です。章ごとにカテゴリーされ、一つ一つの項目は3~4ページで構成されているので、比較的読みやすくポイントを絞った構成で書かれてるからかもしれません。


しかしそれ自体が、読み手に対する気づかいなのかもしれないと思ったのです。昔から本を読むときには付箋を貼る癖があります。あとでササっと読み返せるように。


ペタペタ張りました。気になるところは片っ端からです。すると結構貼り付けたことに驚きます。後から読み返しても「当たり前のことばかりの字面」と感じていたのですが。ふと思いました。


難しそうなことでもギリギリできそうなこと」や、「今まで気づきもしなかったこと」は参考にしたいと考えがちですが、この「当たり前に感じること」にフォーカスすることは少ないことに気付かせてくれたのです。


それは「当たり前ができているのか」ということ。「できそうでできない」、あるいは「できるけどしない」が多く、そこから目を背け、別の「新しいこと」を探そうと必死になっているのではないかと思い直すことができたのです。


CA「自分が乗務した便では、担当する40~50人の全ての席のお客様の顔、様子を把握するように努力している」といった一文がありました。


灰色の石床に設置された黒いベンチに、一人の男性が新聞を読んでいる。静かな雰囲気の中で影が長く伸びている。

把握されているかどうか、飛行機に乗っていて感じたことはありません。じろじろ見られていることもないし話しかけられるわけでもない。


把握する努力をされているかなど知る由もなく、CA側としても、別に努力してもしなくても気付いてもらえないし影響がないかもしれません。それを、こっそりやっているのだとすれば「気づかれない気づかいこそ「金」」に匹敵すると思いました。


まとめ


できること」を確認する方法は「やってみる」で判断できます。既に経験したことは感動がなく、新しいことを追いかけるのは楽しいもの。しかし、今一度できることをやってみる行動を起こしたくなった一冊でした。


そしてこの後、伊丹空港から大分空港まで飛行機で行き来するたびに、小さなワクワクを感じ、今回も「良かったな」と思うようになりました。



ご紹介書籍

青地に「ANAの気づかい」と大きく表示。黄色や白で「仕事も人間関係もうまくいく」。飛行機のイラスト付き。

仕事も人間関係もうまくいく ANAの気づかい


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