不動産購入で失敗。だから「購入申込書」は記入時に細心の注意が必要

今回は不動産購入時に売主側に差し入れる「購入申込書」について紹介したいと思います。個人的な見解ですので参考にしていただけたらと思います。


理由

記載すべき交渉内容や購入条件を記入した「購入申込書」を差し入れた後、万一書き漏れや間違いがあると、後から修正や追加することが難しい場合が多いから

 

不動産「購入申込書」とは一体どんなものなのか

 

不動産の売買契約に至るプロセスとしては、おおよそ売り物件の情報入手→物件見学(内見)→住宅ローン等の融資確認(現金購入の場合はスルー)→検討→購入申し込みとなります。


不動産の取引では後々「言った・言ってない」や「聞いていた・聞いてない」を未然に防ぐための大変重要な資料でもあります。案内中や契約までの間に売主買主間で無意識に話した内容がトラブルの原因になったりもします。



実務ベースでお話しですが、生まれて初めて不動産を購入する一般の方が、こんな書類を目にするのもきっと、初めてになることが多いかと思います。


しかし、不動産以外の何か商品をネット上で申し込んで購入するといった行為は、今や日常ですね。


ですから、例えば不動産の仲介会社の担当者から「ご購入をお決め頂けたのであれば、こちらの申込用紙の中身をご確認の上ご署名・押印お願いします」と促されてもさほど違和感はないと思います。


実際に使用されている書面はこんなフォーマットになっています。各不動産会社によって多少の違いはあるかもしれませんが、内容についてはほぼ同じものだと思います。



1.購入価格


A4の用紙に収まるほどの内容です。この時多くの購入希望者が一番注意するのは、おそらく一番最初にある「購入価格」ではないでしょうか。


当然と言えば当然です。ここを間違えると大変ですからね。ですが、逆に言うとここを間違う可能性はほぼないでしょう。

取引上、一番大切なのは「価格」です。それは共通認識であると思います。(一部特殊事情により例外的に「価格」の優先順位が異なる方もいらっしゃいますが)

すこしづつ中身について触れていきたいと思います。価格には消費税が課税されるものと、そうでない不動産が存在します。


ご承知の通り「土地」のみを購入される場合は「非課税」の取り扱いとなります。理由は「土地は消費するものではなく半永久的に存在するものである」からです。



また、売主が一般個人の方で事業を目的としていない居住用として所有している戸建てやマンションを売却する場合の売買価格は「非課税」としての取り扱い対象となっています。


逆に、事業を目的とした「法人」や「個人事業主」が販売する不動産(例えば建売住宅など)には消費税が課税されます。


国内で事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡、貸付、労働などの務めとして行うものは課税対象となります。

​仲介手数料の計算方法は、消費税を含まない売買価格に対して計算されます。宅地建物取引業者が分譲している不動産を購入する場合等は、当然消費税額を除いた売買価格に対して計算されます。

その下の欄にある「清算方法」でよく見かけるのは、一旦は土地の権利書(登記識別情報)や全部事項証明書に記載されている土地の面積で契約は行う。


その後、現状の面積と異なっている恐れがある場合に、再度土地家屋調査士等資格あるものによる確定測量を行い、面積に差が発生した場合に最終的に清算しなおす方法のことです。

​ふーん、そうなんだぁ。って感じている方がいるかもしれませんが、これが結構重要です。昔の測量技術と現在とでは技術差がかなりあって、比較的大きな土地の場合は平気で数十㎡増えたり減ったりすることがあります。


購入申込書」の「公簿取引」欄に予めチェックが入っている場合は注意が必要です!

2.支払条件


次に、支払条件の「手付金」という項目があります。


手付金とは、売買契約を締結するときに相手方の債務不履行の有無に関係なく、個人的都合での解約権を認める目的のために支払われる金銭であったりします。


または相手方に債務不履行があった場合、損害賠償もしくは違約金として買主から売主に対して支払われる金銭の一部に充当されるものとして取り扱われます。


性質として手付金を支払っても、本来売買代金の一部を支払ったことにはなりませんが、契約時に「手付金は、残代金支払時に売買代金の一部に充当する」などと定められて売買代金の一部に充当されることが一般的です。


不動産の売買は、契約後に買主は金融機関へ住宅ローンの申し込み手続きや、売主の引っ越しの段取りなどで一定期間が経過した後に残代金の支払いや物件の引渡しが行われることが多いです。


その間の取引内容を安定させる意味を含めて契約時に買主が売主に一定の金銭を手付金として支払う慣習があり、その手付金の授受には契約の成立を表す意味合いが強く含まれています。

​「手付金」には様々な意味合いを持たせていることも知っておいて損はないかと思います。「解約手付」・「違約手付」・「証約手付」が主に紐づけされているのです。

ただし、この手付金の金額には制限があります。「売主が宅地建物取引業者である宅地や建物を売買契約するときの手付金は、売買代金の10分の2を超えてなならない」とうい制限です。


解約手付の意味合いからすると、買主は手付金を放棄して解約することができるのですが、金額があまりにも高額となると契約解除が難しくなり拘束力が異常に高くなてしまうことから制限を設けているのです。


​逆に言うと、担当者等から「手付金は売買価格の10%です」などと決めつけられたら要注意です。だって手付金の額は決まっているものではないからですね。

内金」についてですが、売主・買主に何かしらの事情があって、契約時から引き渡し時までが極端に長い場合、「売主側とすれば、半年後に解約されたら今後の段取りが大変」、「買主側も、子供の入学に間に合わない」などの問題が発生します。


このリスクを少しでも解消するために、途中経過の段階で「金銭の一部をお支払いします」といった意味合いの物です。


あくまで「購入申込書」は買主の希望を記入する書類のため、その条件を飲む飲まないは売主の判断にゆだねられます。そして最終の支払額が手付金と内金を差し引いた「残代金」となります。


3.融資の利用予定


この項目もめちゃくちゃ大事です。多くの場合有無の欄には「」と記入する方が多いかと思います。すると売買契約締結後に契約書の原本を持参して金融機関に住宅ローンの申し込みを行いますよね。



また、借入希望金額を記入する個所もあります。しかし万一、融資審査で希望の金額の融資が受けられなかった場合どうなるでしょうか。


ここに記載した金額は、売主も把握している状況です。もちろん契約前に気づいて訂正できれば問題ないのですが。


借入予定を3,000万円と記入した後に3,000万円で不動産を売買契約が無事に成約したとします。


しかしその後、諸費用やリフォームローンも借りなければと考え直して、追加で審査してもらったとします。


ところが残念なことに追加で申請した分については、希望金額の融資が見送られた場合は大変なことになります。なぜなら取引自体が続行してしまうことが十分考えられるからです。

​不動産仲介会社が間に入っているケースでは、まずこんな事にはならないかと思います。購入時の諸費用や入居前のリフォームについての伺いがあってしかるべきなので。ただし、個人間でやり取りする場合は自己責任での取り組みなので注意が必要です。

4.契約締結予定日と5.契約時間・場所


契約締結日や時間場所に関してですが、買主の希望をご記入いただくことになります。売主側との調整を行って日時は決定されることが多いですね。


ただ、注意すべきは「契約場所」です。一般的には不動産仲介会社の事務所で売主および買主同席のもと執り行われるのが通例です。


​理由としては

1.取引にかかわる業者が宅地建物取引業の免許保持者である旨の標識を掲げていることを確認をしていただくため


2.実務上、契約時においてコピーを取ったり、売主買主間で手付金等の金銭の授受を行ったり、バックヤードにある取引事例やその他の情報などを用意できる等スムーズな対応ができるため。

しかしながら何らかの事情例えば、お客様同士の都合がどうしても会わない(買主は土日が休日で、売主は水曜日が定休日)場合も考えられます。


そんな時やむえず仲介会社の担当者が、双方のご自宅に伺って契約したり「持ち回り契約」、喫茶店やホテルのラウンジで契約したりする場合があります。


他にも、対象の物件内で契約したり、建築する工務店で契約したりと様々です。契約自体は有効です。


が、不動産に関係のない場所での契約にはクーリングオフの適応を受けるといった制度があります。


これには一定の条件がありますが、内容を満たしていれば書面により相手方に通知して、一度は完了した契約自体をなかったことにできるというものです。


条件としては、「売主が宅地建物取引業者である」・「契約場した所が不動産会社の事務所以外である」・「契約場所について買主は指定していない」というものです。


この条件の下、契約時にクーリングオフの説明をうけていれば契約から8日以内、受けていなければ決済日までの間適応されます。


個人間で行われる契約は、不動産業者の事務所でお互いひざを突き合わせて契約の場に臨むのが一般的です。


仲介業者の立会いのもとで執り行われることで齟齬を生じさせたり、勘違いや受け取り違いを軽減させるといった意味でも一番良いとされています。

​安易に「持ち回り契約で行いましょう」などと、契約日の調整を簡単に進めてくる業者には注意が必要です。

6.引渡希望日


引渡希望日も、買主の希望をご記入いただくことになります。売主側との調整を行って日時は決定されることが多いですね。


ただし、契約日と引渡日の間隔が短すぎると取引自体が非常にタイトになる場合があります。


契約後、金融機関等を利用して住宅ローンを組む場合「融資審査」→「金銭消費貸借契約」→「融資実行」までに早くても半月くらいは時間を要します。


売主側でも、残置物の撤去作業や抵当権などの抹消手続きがある場合や、単に遠方の物件ですぐに動けないといったケースがありますので、一般的には契約後1ヵ月から1ヵ月半くらいを目途に記入されるのがよいかと思います。


​また、引渡希望日は「金融機関や法務局が開いている平日」で「時間はできる限り午前中」となります。


同時履行の原則」というものがあって「残金は支払っても移転登記は翌日以降」や「鍵だけ先に渡す」といったことはトラブルになりかねません。スケジュールを確認して決定されることをお勧めいたします。

7.引渡し状況


これも重要な項目に該当します。例えば、古家が付いた状態で販売されていた不動産を、土地として購入したいと考えている場合、建物解体撤去を売主側で行ってもらいたいと交渉する場合。


お庭に置いてあった倉庫も取引の対象に含めて考えたいと交渉する場合など、物件見学時と引き渡し時に状況が変化する場合を想定して記入することが大切です。


ほかにも、物件見学時に売主から「浴室のシャワーヘッド部分が壊れているので新しいものと交換するわね」等の話しがあった場合は、メーカー名や商品カタログを入手して「引き渡しまでに浴室のシャワーヘッド交換」等と記載しておくことで、後々のトラブルを回避できるかとおもいます。


この項目で重要と位置付けているのは、必ず「物件状況報告書」や「付帯設備表」といった書面を購入申込書に記載する前に不動産の仲介担当者から入手しておくということです。


前回の記事「不動産購入で失敗。だから付帯設備表のチェックは怠るな」でも触れていますが「売主はこの書面に記載した状況で引き渡しますよ」といった内容の書面になりますので、ぜひこれらの書類の内容を確認してから作成することをお勧めします。


8.本書の有効期限


この「有効期限」の記載のない購入申込書を見たことがあります。また、項目があっても日時の記入がないものもこれまで散見したことがあります。


しかしここは押さえておきたいポイントでもあります。なぜ重要なのでしょうか。


その他の交渉内容は記載しているものの、有効期限の記載のない購入申込書は、交渉に対する売主側からの回答がいつ来るかわからないということを意味します。


見方によれば「何時まででも待ちます」と言っているように捉えることもできますよね。



極端に短い期間を設定するもの、売主に十分な検討機会を与えないといったことに繋がりますので有効ではありませんが、キチンと回答をもらい受けるためでもあり、お互いの条件が不一致の場合を想定したり、次の準備を進めるうえでも期限を設けることが重要です。


9.その他


この「その他」には、これまでの項目に分類されないような内容を記入する必要があります。

  • 住宅ローン特約付き(万一、住宅ローンの申し込みが購入者の責めに帰すべからざる理由によりその一部もしくは全額が借入できなくなった場合、本売買契約は白紙解除できるものとする)という内容

  • 売主の責任と負担による境界明示(確定測量含む)の実施

  • 敷地境界上にある共有の(コンクリート等)構造物の切離しに関する隣地所有者との同意書取得

  • 室内残置物は引き渡しまでの間に売主側にて撤去。万一撤去がなされていない場合の所有権は放棄する

  • 新築工事をおこなうため、既存建物滅失登記申請書類への協力が得られること

  • 地上、地中内配管等越境ないこと

  • 前面道路における通行許可・掘削同意を関係者全員に頂けること

等々、挙げればきりがありませんので一例を掲載させていただきました。具体的な内容は「売買契約書」や「重要事項説明書」などに記載することになります。


しかし、一見しただけで「えっ?こんな文言思いつかないよ」となるかと思います。そのために仲介会社の担当者がいるわけです。


一般的な取引ではこのような内容は把握しているはずですから。逆に担当者の方から説明してくれることの方が一般的です。

 

購入申込書は意思表示

 

購入申込書は売主側に購入の意思を示すための意思表示にすぎません。当然ながら売主買主間での諸条件に折り合いがつかなければ購入にに至ることはありません。


申し込みの順番


購入申込書を売主側に差し入れた順番で「1番手」といった言葉を耳にします。これはほぼ同時に次順位で購入申込書が差し入れられるといったケースがあった場合の表現方法です。


何年も売り物件がないような非常に人気のある地域で、販売直後に購入希望者が殺到するといったことが稀にあります。


ですが、そうではない一般的な物件であっても、時期等によっては重なって申し込みは入るケースがあります。


購入申込書を差し入れる場合、必ず「自分より先に申し込みが入っているのか」を確認することをお勧めいたします。


この行為も、後々のトラブルを回避することに繋がります。せっかく時間と労力を使って気に入った物件が見つかったにも拘らず、先約がいたことを後で知ったら失意の念しか残りませんよね。



では、「1番手」になれば購入できるのでしょうか。実はこの「1番手」というのは「売主との交渉が1番目にできる」というものでしかありません。


逆に言うと、交渉が不調に終わるケースもあるので後順位者にもチャンスはあります。


また、売主側を担当する仲介会社の方針にも注意が必要です。最近では単に購入申込書を差し入れただけでは「1番手」としないというものです。


住宅ローンを利用される場合に金融機関にて「住宅ローン事前申し込み審査」を予め行って「(本申し込み前の)事前段階での承諾」を取り付けていることも条件にしている仲介会社が増えています。


慌てて申し込んだとしても、回答までに数日かかることが一般的で、仮に土曜日、日曜日(金融機関によっては受け付けているところもあるようですが)が絡むと数日間のロスが発生してしまいます。


この間に「2番手」申し込みを入れていた方が事前承認を取り付けていた場合、繰り上げられることになります。


ある程度、不動産購入が現実味を帯びてきた段階で、事前に金融機関にて事前に申し込みを行っておいた方がよいでしょう。


安易な申し込みは避ける


不動産取引は自由市場(取引)という位置づけにあり(政府や権力による強制で行われるのではなく、望むものが自発的に取引を行うことができる市場)、双方の(売りたいと買いたい)の条件が揃えば取引が許されているということです。


とは言え、不動産の購入は高額になることが多く、買主様の心労は計り知れない部分があるかと思います。


また、同様に売主においても同じことが言えると思います。一つしかない住宅を売却する場合、よっぽどの事情があってのことが多いからです。


不動産売買は売主も買主も真剣であることに間違いありません。また、不動産取引は世の中の景気に左右されやすい側面があり、地域によっては需給バランスが崩れるタイミングというものがあったり、時期によって売手市場であったり買手市場であったりします。


そんな中、もし売主が「売りには出すけど売るかどうかわからない」といった気持ちで売却活動を行っていたとしたらどうでしょう。不信感しかないですね。


同様に、買主が「とりあえず購入申込書を差し入れて、順番だけ確保しておいて、そのあとゆっくり購入するか検討しよう」のような安易な申し込みをすると、真剣に購入を検討して手順を踏んだ方が2番手となると、状況次第で売主の成約の機会を損失させたと取られる可能性がありますね。


不動産取引は慎重かつクリーンに行われなければなりません。十分な準備と明確な意思決定により誠意ある取り組みができるよう心掛けることが求められると思います。

 

まとめ

 
  • 購入申込書」の「公簿取引」欄にあらかじめチェックが入っている場合は注意が必要

  • 購入申込書」の「手付金」は制限はあっても金額の指定はない

  • 購入申込書」の「融資の有無」は自己資金と購入に必要な全額資金を確認して決める

  • 購入申込書」の「契約場所」はクーリングオフの対象となるかなどのチェックが必要

  • 購入申込書」の「引渡希望日」は曜日や時間に注意が必要

  • 購入申込書」の「引渡し状況」は「物件状況報告書」や「付帯設備表」を事前に入手

  • 購入申込書」の「本書の有効期限」は必ず記載して期限を設ける

  • 購入申込書」の「その他」は仲介会社の担当と見落としがないか相談する

  • 購入申込書」は予め金融機関で「住宅ローン事前申込・承諾」を得ておいた方が有利

  • 購入申込書」は十分な準備と明確な意思決定に基づき記入する

十分に納得いくまでチェックを怠らずに「失敗しない不動産購入」をするための参考になれば嬉しいです。



不動産投資をお考えの方にオススメの今日の一冊


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