不動産買取り[事故物件編①]
心理的瑕疵
今回買取りした物件は、いわゆる「心理的瑕疵」に該当する物件でした。広義の意味では「事故物件」とされるようです。
相続人様のお話によると、時期は4月。高齢女性(母親)の一人暮らしでした。死因は老衰で、リビングへの入り口付近に倒れていたそうです。
特に外傷もないことから、他殺等の事件性はなく、死後1週間ほど経過していたそうです。
相続人様のご意向で、物件を売却することに。仲介業者の担当者からご紹介して頂きました。
物件概要
専有面積:約70㎡
バルコニー:約12㎡
間取り:3LDK
階数:4階部分
駅まで徒歩5分
昭和59年築
セールスPoint
角部屋
南向き
全室6帖以上
とても使い勝手のよさそうな間取りと立地です。3室南向き。
物件調査(マンション編)
いつものように、調査を開始します。今回はマンションとしての調査内容です。
現在、同マンションでの売り出し物件の有無を調べます
直近の同マンションでの成約事例を調べます
周辺の類似物件の成約事例から、㎡単価を割り出し、比較検討します
物件周辺の仲介会社に電話して、相場の聞取りや流通性を調査します
周辺地域内で新築マンションが販売されているかを調べます
管理費が周辺物件と比べて異常に高くないかどうか比較します
修繕積立金の額と、現在までの積立総額を調べます
直近と長期の大規模修繕工事の予定と計画表があるかを確認します
マンション全体での今後の修繕計画や議事録に目を通します
現地に行って、周辺環境や駅からのアクセスを調べます
物件近隣の商業施設、駅、学校等までの距離を歩いてみて回ります
室内をみて、リフォーム箇所をピックアップしておきます
近隣住人の方と、住み心地などについて可能であれば話をします
慣れてくると、1日掛かりません。知りたいことは他にもあります。上下階と両隣の生活スタイルや、駐車場の空き情報などなど。
しかしこれらを調査しようとすると個人情報に抵触する恐れもあって、入手が困難になる事がほとんどです。
また、駐車場や駐輪場の空き状況などは流動的な情報になるので、あまりこだわっていません。
えっ、それだけ?って思われた方もいらっしゃるかもしれませんね。だって「事故物件」なんでしょ?って。
確かにそうですね。「事故物件」を扱う際、買取り後に再販売する場合は、必ず次の購入者様へその内容を伝えるべき義務がありますから、出来る限り詳細に伺っておきます。
予め売主様より詳細情報を教えてもらうことが前提です。
ただし、「事故物件だから購入しない」という偏った判断はしませんね。
売主様に売却意思がある以上、理由をしっかり把握して条件次第で購入します。
不動産の買取り金額と経費
「買取り時の価格が安くなるからじゃないの?」って声が聞こえてきそうです。
確かに内容によっては、多少買取り価格に影響する場合もあります。しかし、事故物件であろうとなかろうと、一般的に再販売を目的として不動産業者が買取りする場合、買取り時の価格は低くなります。
また、再販売する場合の価格は、事故物件だからという理由だけで価格を抑えたりはしません。今回もそうでした。
そもそも「事故物件」の定義が明確にされていないこともありますが、どんな内容であっても、あまり気にしていませんね。だって、「良い物件がそこにあるのだから」と思っていますので。
物件選びをする際に、よく間違えるのが「自分目線」です。「自分が住みたいかどうか」だけで判断してしまうことです。これを指標にすると視野が狭くなってしまいます。
「事故物件に自分は住みたくない」って思った時点で、検討は終わります。
世の中は広いということです。世界には70億人の人がいて、その中のたった1組の方に気に入っていただければ良いわけです。
結果
販売開始から5ヵ月で、購入者様が決まりました。もちろん収支は黒字です。純利益率は10%を超えました。
購入者様に「心理的瑕疵」について、詳細に書面と口頭で説明し、理解を示して頂きました。その時に伺った内容です。
まとめ
事故物件「心理的瑕疵」というだけで偏った見方をしない
物件の買取り検討時には、事前調査がなにより重要である
何のための買取りか、自信をもって売却できる方法を大前提に考える
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